JBAでは、2019年が日本の吹奏楽発祥150年であることを記念して、記念式典並びに記念演奏会[2019年10月14日(祝・月)横浜・本牧山妙香寺]の開催、ロゴマークの制定、作品リストを作成するとともに、吹奏楽発祥に至る歴史と次世代に向けてのメッセージとして吹奏楽コンサートのプログラム用の文章を用意いたしました。 所属あるいは関係される吹奏楽団体や地域でのコンサートのプログラムなどに下記の文章をご掲載いただき、日本吹奏楽発祥150年の節目に理解を深めて頂きたくご協力をお願い申し上げます。
 
 
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吹奏楽発祥150周年を記念した演奏会で取り上げていただきたい作品リスト
1 礼式曲「君が代」(J.W.フェントン作曲)
 明治3年に天皇を奉迎するための礼式曲として作曲された初代「君が代」です。
2 「扶桑歌」(C.ルルー作曲)
 
明治18年にフランス人のお雇い教師であるルルーが作った作品で、前半が「陸軍分列行進  曲」の元歌となりました。
*高橋宏樹の編曲でバンドジャーナル平成30年9月号別冊付録とされました。
3 行進曲「軍艦」(瀬戸口藤吉作曲)
 明治33年に海軍軍楽隊の軍楽師であった瀬戸口藤吉が作曲した作品で、現在も海上自衛隊の公式行進曲として、出入港、進水式等に演奏されます。 *海上自衛隊東京音楽隊ホームページよりダウンロード可能です。
4 「君が代行進曲」(吉本光蔵作曲)
 
明治35年に海軍軍楽隊の吉本光蔵が、前半に国歌「君が代」を、トリオに「御国の守り」を用いて作曲しました。後に昭和27年の第24回選抜高等学校野球大会開会式でも使用された作品です。  
*アメリカTRN出版から和田直也の編曲で出版されています。ミュージックエイト等で取り扱い可能です。
5 行進曲「立派な青年」(大沼哲作曲)
 
大正12年に陸軍軍楽隊の大沼哲が作曲した作品で、当初のタイトルは「立派な兵隊」でしたが、戦後現在のタイトルに変更されました。
*エムツープランから巽俊裕の編曲で出版されています。
6 行進曲「大日本」(斎藤丑松作曲)
 
昭和15年に「皇紀2600年」を記念して作曲された作品で、その年開催された第1回全日本吹奏楽コンクールの課題曲としても採用されました。
*ネクサス音楽出版から原典版および渡部哲哉の編曲で出版されています。
7 祝典行進曲(團伊玖磨作曲)  
 
昭和34年に皇太子殿下と美智子妃殿下とのご成婚を祝して作曲された作品です。
*音楽之友社からオンデマンドにて注文取り扱い可能です。
8 行進曲「先人を仰ぎて」(藤田玄播作曲)
 
平成元年に妙香寺境内に「日本吹奏楽発祥の地」記念碑建立による除幕を記念して作曲された作品です。
*こちらからダウンロード可能です。
 
行進曲「先人を仰ぎて」の楽譜をダウンロードできない場合は、JBA事務局からお送りいたしますので、その旨お申し付けください。なお、印刷費・送料として1,000円ご負担いただきますので、予めご了承くださいますようお願い申し上げます。
 
※歴史的価値のある作品はほかにもありますが、楽譜が入手可能な作品をもとにリストを作成しております。
 
 
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「日本の吹奏楽発祥150年について」(プログラム掲載用原稿)
 
 
 本年は、明治2年(1869)に横浜の本牧山妙香寺におきまして、薩摩藩士がイギリス陸軍軍楽隊長ジョン・ウイリアム・フェントンから吹奏楽の指導を受け始めてから150年という記念すべき年であります。 薩摩藩が吹奏楽の伝習を始めるきっかけとなったのが、「生麦事件」に端を発した文久3年(1863)の「薩英戦争」の際、昼間の戦闘が終ると夜は英国軍艦の上では軍楽隊が演奏を行い、それを見た薩摩藩が維新後に楽隊を作る動機になった、と長らく伝えられてきました。 しかし実際には、砲戦があった日は暴風雨で軍艦の甲板上での演奏は無理でした。もし演奏があったとしても、鹿児島の町は英国軍艦の艦砲射撃で焼かれていて、薩摩藩士の耳に届いたとは、とても考えられません。 この「薩英戦争」を境に、薩摩藩、英国共に相手の実力を再認識し、互いに手を結んだ方が得策だと考えて急接近しました。日本を取り巻く当時の国際情勢は、変化に富んで流動的でした。 慶応2年(1866)には、英国艦隊3隻がパークス公使夫妻を伴って鹿児島に入港し、親善行事が繰り広げられました。この時には、旗艦軍楽隊の演奏が披露されていて、これが吹奏楽伝習に大きな影響を与えたと考えられます。 諸説ありますが薩摩藩士は32名で伝習を始めたようで、当初は和楽器を用いて基礎訓練を行い、明治3年(1870)7月に、英国からベッソン社製の吹奏楽器一式が到着し、本格的な吹奏楽の訓練に入りました。 翌月には英国陸軍軍楽隊と山手公園で合同演奏を行い、9月には東京・越中島における天覧操練で、フェントン作曲の礼式曲「君が代」を初演しました。これが、日本の吹奏楽の始まりと言えましょう。 公益社団法人日本吹奏楽指導者協会(JBA)は、平成元年(1989)に、ゆかりの妙香寺境内に「日本吹奏楽発祥の地」の記念碑を建立し、毎年、各方面の吹奏楽団のご協力を得て、記念演奏会を実施してまいりました。今日の吹奏楽の隆盛を支えて来た多くの先人の遺徳を忍び、その功績に敬意を表して報いるべく150年という節目に当たり、吹奏楽に携わり、あるいは愛好する方々と相図り、この意義ある年を盛り上げたいと存じます。
 
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